そう、事件は突如発生する。

頭がふわっと軽くなり、呂律が回らないくらいパニックに陥った。こんなふうに肩がぞわっとする感覚は初めてだ。「緊急事態のときこそ、落ち着いて」という当たり前の標語を思い出すが、
がーん→冷静→がーん→冷静→がーんの波が押しては返す。陣痛はこんな感じだろうかと別の事を考えて気をそらそうとするが、世の中そんなに簡単に自分の気持ちをコントロール出来たなら人生苦労しないだろう。

ない、のである。
去年仕事のオファーがあり、急遽詳細を伺いにシンガポールへ飛んだことがあった。好条件の転職であったが、航空券まで手配して頂いたにも関わらず結局お断りする事となった。
帰りのチャンギエアポートで自分を高める武器として、女の子なら誰でも憧れる、あの宝石店でダイアの入った耳飾りを手に入れた。

が、ない、のである。
母からもらったサファイアの指輪とともにごっそりなくなった事に気づいたのは
デリーからバンコクへビザとりに出発する、その数時間前だった。
大体何が起こったか理解出来た頃にはショックのあまりに手が震えた。(私も震える事があるのね、ともう一人の自分が関心をする。)
デリー空港につくなり排泄時の不快感を感じ、バンコクに到着してビザ申請が済んだ事を見計らうように体調が崩れ、激しい下腹部痛に襲われた。トイレから漏れる私の惨めなうめき声をききかねた友人に、半ば強制的に病院へ連れて行かれた。バンコク在住時には高くていけなかった「日本語通訳がつく」病院は待合室はまるで空港のラウンジのようでジュースが飲み放題サービスだ。10年前には衛生面の不安等がもてはやされていた事など嘘のように、タイは今や美容+医療大国となり、院内は世界中から患者が集結したit's a small world 〜バンコクの病院ver. ~状態であった。
本当にラッキーだったのが、前回の一時帰国から3ヶ月以内だったので海外旅行保険が適用された。ありがたい。抗生物質を処方され、飲み終わる頃にはすっかり友人と言い合いをするほど元気になった。ただの膀胱炎をみくびってはいけない。(女性は特に気をつけてください。)

今日この話を皆さんにするのは『みなさん、インド怖いとこ!盗難気をつけて!』という注意喚起ではありません。この事件の後に起こった事件との間に感じた不思議な出来事の話です。

誰が悪い?誰が悪いかって、そんなに重要?
忙しさのあまり、気が抜けてしまっていた自分の落ち度もありますし、大事な物をなくしてしまった後ろめたさや悔しさがあふれる。砂漠状態の疲れた私の心にたったひとつある救いの井戸から飲めない汚染された水(負の考え)が湧き出てくる。

自分の意識を戻す。私、今どういう気持ちですか?
うーん、いやな気持ちです。大切な物をどうやらとられてしまったようで腹が立ちます。
それっていい気持ちですか?
いいえ、嫌な気持ちです。
ずっと嫌な気持ちのままでいたいですか。
うーん、いやです。できたらいい気持ちになりたいです。
じゃあ、悪いものを持っていってもらったと考えましょう。

こう考える事によって負の考えとはバイバイをし、犯人である誰かの事を責める事も離脱する事にしました。せめても気持ちよくないし、なり得ないからです。

数日後。
友人宅の窓から渋滞する道路がみえ、そこをなんとか抜けようと数台の救急車が悲鳴のようあサイレンががむしゃらに聞こえてきた。
数分後、友人の同僚からの連絡でそこからわずか5分の徒歩圏内で20名の死者、120名以上の負傷者が発生するテロ事件が起きていた事を知った。(朝日新聞より)
そして私と友人は現場付近のマッサージ屋にその夜、予約を取っており、私がぐずぐずしていたために出発が遅れていた矢先の出来事だった。さらに事件があったエラワン廟はヒンズー教の神様、ブラフマンを祭る祠だった。

私の心の中で誰かが「守っていただいたんだな、ありがとうございました。」とつぶやいた。

この盗難が災いを避けてくれたかなんて誰も知らない。
このような因果関係を結びつける事は都合のよい解釈にすぎないと考える方もおられるでしょう。そういわれればそうなのですが、この世の中、人間の頭で理論的に議論しても説明出来ない事が山ほどあります。だから不思議だなと思ったって事は多分そういう事なんだと私は受け入れる事にしています。

石の話
ちなみにサファイアという石はとても気難しく、人を選ぶそうです。
1つ目のダイヤモンドも慎重に選ぶ必要があるそうです。
たかが石にそんな力があるのか、って?
石も生き物ですよ〜〜〜!持つときは相性のチェックをしてもらいましょう!
過去にはこういう事もありました→インドの神々からのサイン

*タイのテロで亡くなった方々のご冥福と負傷者の皆様の早い回復をお祈りします。
そして世界の皆様が幸せでありますように。 合掌*

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angella tomato
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